顔を上げると、 タクトは笑っていた。 タクトはいつも、 私に笑顔をくれる。 「瑞希はさ、生きたいって思ったってことだろ?」 「うん……」 「それってすごく、強いことだよ」 そう言って、ぎゅうっと 強く私を抱きしめてくれる。 ……あたたかい。 私も目を閉じ、 彼の身体をぎゅっと抱きしめる。 「ねぇ、」 近くにいる。 タクトの声が、すぐ側で聞こえる。 それだけのことが、 こんなに愛しい。