タクトはシートの上にごろんと横になり、 空に向かって手を伸ばす。 「そういうのって、けっこう後を引きずるんだよ」 そして伸ばしたその手を、ぎゅっと握りしめる。 「今でもたまに夢に見る」 私は横になったタクトを見下ろしながら、 じっとその手を眺める。 「それはただ単に、 タクトが負けず嫌いなんじゃない?」 「まぁ、そうかも」 タクトはひとりごとのように、 ぼそっと呟いた。 「その時一番になれなかったの、すげー悔しかった。 ……二番目じゃダメなんだよなぁ」