「はぁっ」


家が見えなくなってからは、全力で走った。


リュックの中の荷物が、

ふわふわ揺れて走りにくい。


空気が澄み切って気持ちいい。


胸がどきどきするのを止められなかった。


マンションの下まで行くと、

タクトはもう私を待っていた。


「おす!」


「タクトもういたんだ!」


タクトの背中のリュックからは、

折りたたまれた望遠鏡が飛び出ていた。



「あ、すごい。

なんか本格的だね」