気がつくといつの間にか、 タクトの両替した千円は姿を消していた。 彼は二度目の両替に向かおうとしている。 私はたまりかねて、 横から助言した。 「……ねぇ、もうあきらめたら?」 「俺もそう思うんだけど、今さら引けないとこまで 来てねー?」 「買った方が安いじゃん。 あれ一本十円でしょ。 千円あれば、百本買えるよ?」 「知ってる」