「ほら、あの人が今やってる所。 あれはダメだな、 爪がスカッスカだ」 ち、近い近いっ! タクトの髪が頬にふわっと触れて、 声がすぐ顔の横で聞こえて。 ドキドキして、 まったくタクトの説明を聞く余裕がなかった。 タクトが真面目な顔で私を見つめる。 「……聞いてた?」