「ただいまー」

「…」



大きな荷物を両手いっぱいに抱えてマイハウスへと無事に帰宅した。

少年も少し疲れたのか荷物を置くとリビングのソファーに腰掛けていた。

買い物はばっちり。

必要なものは全て買えた思う。



「でも大河、本当に洋服これだけでよかったの?結構お金余っちゃったよ?」

「…」



預かった封筒をひらひらさせて見せれば少年はコクリと頷く。

お母さんのメモに書かれていたのは生活に必要な日用品と“大河くんに似合いそうなお洋服全部”という親バカ丸出しの内容だったのだが、それをデパートで少年に告げれば、少年はキョトンと此方を見てその後首をゆっくり横に数回振って見せた。

結局少年が買った洋服は生活に支障がでない程度の数だったため母から預かったお金は思ったよりも減らなかった。

お母さんに「なんでもっと沢山買ってこなかったのよー!」と後で言われそうな気がするが、まあ本人が良いと言っているのだからなんとかなるだろう。

それにしても、



「眠いなー」



少しだけでかかった欠伸を噛み締めれば生理的な涙が出た。

少年が来週から通うらしい地元の中学校への道順を教え、他にも駅や繁華街など利用する機会があるであろう場所をざっと教えた後デパートで買い物までしてきたのだ。

本来であればまだ寝ていた時間に動いたからか私にはいつもより大きな眠気が再来してきていた。

ふと横目でさっきから黙りっぱなしの(と言っても基本無口だけれど)少年を見れば、彼も眠いのかウトウトと目を眠たげに細めていた。



「大河も眠いの?」

「…うん」



お、喋った。なんて思いながらも少年の隣に腰を掛ければ、少年は私の顔を眠そうな顔でじっと見てきた。

「どうしたの?」と聞いてみるものの応答はない。

いったいどうしたんだろう、と私も少年をじっと見つめると少年の目は徐々に閉じられ私の肩に寄りかかるようにして眠りについた。

サラサラの髪の毛が首を掠めて少しくすぐったい。



「まったく可愛いなあ。」



隣から聞こえてくる規則性の在る寝息に私の眠気も拍車をかける。

少しだけお昼寝しよう。

私も彼に少しだけ頭を預けると静かに目を閉じた。










(次に起きた時少年は、)
(いったいどんな反応をするんだろう)