「…え?」



いつも通りの学校を終え、いつも通りの通学路を歩き…

そしていつも通りに玄関をあけた瞬間だった。



私から“いつも通り”が消えたのは。





「ハコちゃんおかえり」

「…」





見慣れた玄関に入れば、そこには見慣れた母と見慣れない少年がいた。

親戚の男の子ではない…というか親戚に男の子はいない。

いったい君は誰なんだと思わず凝視していれば無言で母の横にたっている少年と視線がぶつかった。

わお、とっても美形。

それが素直に第一印象だった。

明らかに高校生である私より年下なその少年は幼いながらにも整った顔立ちをしていた。



「お母さんいったいどこからこんな可愛い男の子連れてきたの。まさか誘拐とかじゃないでしょうね。」

「ハコちゃんはお母さんのことなんだと思ってるのよー!」



「もうー!ひどいんだからー!」と口を尖らす母。

プンプンと効果音が聞こえてきそうだ。

だが今はそんな母の状況よりもこの場の状況を理解したい。

「誘拐じゃないならいったいどこから?それでもってどうして?」と改めて聞いてみれば母はふふふと笑いながら少年の肩を優しく掴んで自分の前に連れてきた。





「なんとなんと今日からハコちゃんの弟になる大河くんでーす!」





開いた口が塞がらないというのはまさにこの状況なのだと思った。

が、しかし、私はもう一度言いたい…





「…え?」











(やってきたのは美形な少年)