自分の身に起こってることが理解できない。



私は移動教室のために廊下を歩いていただけだ。

なのになんで先輩に腕を掴まれてるわけ?

しかも誰だって知ってるような有名な先輩に。



「月岡…椋ちゃん?」


「そうですけどなにか」


名乗った覚えもないのに名前知ってるとか…

少し気持ち悪くて軽く睨みながら答える。


「俺、黒鳥徹也っていうんだけどさ」


知ってる、クラスの女子が騒いでるから。

なんて心の中で冷静に呟いていたのもつかの間…


次に彼が発した言葉は耳を疑うものだった。



「俺の彼女になってよ」

憎たらしい決め顔で彼は言い切った。