息を弾ませながら
『夫婦橋』を通る。
鈴の音が
聞こえてくるのではないかと
『夫婦橋』の真ん中で
蓮音は立ち止まり
橋の下を流れる川を眺めた。
微かな潮風の匂いがする風に
蓮音の柔らかな髪がなびく。
額は汗いっぱいになっていて
風が心地よかった。
また蓮音は走り出した。
玄関のドアを
勢いよく開けると
「ただいま!おじいちゃん!
おじいちゃ〜ん!?
どこ〜!?」
「お帰り、蓮音ちゃん。
そんなに汗をかいて
大きな声出して
どうしたんだい!?」
茂宗がニコニコしながら
居間から出てきて
蓮音を迎えた。
「おじいちゃんから
聞いた『夫婦橋』のお話ね、
今日、
体育館で発表出来たの!
ちょっと恥ずかしかったけど
みんな静かに聞いてくれたよ。」

