「秀也くん…ありがとう。」
涙を含んだ瞳のまま
蓮音は微かに微笑んだ。
「蓮音ちゃん…
蓮音ちゃんは
幼稚園の先生になるんでしょ?
小さな男の子ってさぁ、
好きな女の子にどうしても
意地悪してしまうんだよね。
気を引きたくてさ…
でも男は女を
守らなきゃいけないってこと
小さいうちから
関わった子ども達に
伝えていくことは
先生として大切だよね?
先生になる蓮音ちゃんが
暴力をふるわれているのに
自分が悪いから殴られたり
蹴られたりされるって
思うのは間違いだ…。」
秀也は蓮音の頭を撫でた。
まるで兄が
妹を諭すような
優しさと温かさが
秀也の手のひらから
伝わってくる。

