「本当に悪かった。
蓮音が嫌がることはしない。
だからそばにいてくれ。
お前がいないと
俺はダメなんだよ。
頼む!お願いだから!」
今にも泣き出しそうな洋介は
何度も蓮音の肩を揺らした。
「日高くん…。
少し考えさせてほしいの。」
目をそらして
蓮音は静かに応えた。
「今日はごめん。
駅まで送るよ。」
洋介は蓮音の手を
そっととると歩き出した。
「いきなり学校の門まで
行ったら迷惑だろうから
携番教えて。」
駅の改札で
携帯番号とアドレスを交換した。
蓮音は改札を通った。
その時の
洋介の寂しげな姿と
憂いを含んだ瞳が
いつまでも蓮音の胸に
焼き付いて離れなかった。
(いつも注目されていて
疲れちゃうよね…
本当は寂しい人なのかも。)
後々その思い遣る気持ちが
蓮音自身傷つくことになるとは
まだその時
知るよしもなかった。

