困惑した表情で
洋介を見た。

(蓮音って…

月岡さんって
昨日呼んでたのに…?)


一緒にいた友人達は
「蓮音、後でメールしてね!」

そう耳許で囁き
蓮音から離れた。

蓮音は立ち尽くしたまま
動けなかった。

静かに洋介が近づいてくる。


「今日は
髪をアップにしてるんだね。
俺は
長い髪の時の蓮音が
好きだな。
髪下ろしてくれない?」


洋介は
蓮音の髪留めを外した。

長い髪が
肩にサラサラとかかった。
乱れた前髪を
洋介が長い指で整えた。

満足気に蓮音を見ると

「さぁ、行こうか。」

くるりと背を向けて
歩き出した。

下校中のK女子高生が
蓮音と洋介を眺めながら
通りすぎて行く。

「ねぇ、あの人って
日高洋介でしょ?
あんなチビな子の
どこがいいのかなぁ?」

「うちの門まで
迎えに来てもらうなんて
嫌味だよねぇ。」

蓮音は苦しくなった。

(迎えに来てと私が
頼んだわけじゃないのに…。)