翌日。


退屈な授業も終わり
夏休みも近く
試合後の部活は休みだった。


「ねぇ!!
S高生がうちの門で
誰か待ってるんだって!!」


友達と廊下を歩いていた
私の耳に誰かが
話す声が聞こえた。


(まさか…

日高くんじゃないよね?)

なぜか足がすくむ。

校門に辿り着いた時、

門には…

S高の制服に身を包んだ
長身の人が立っていた。


その姿を見たK女子高生達が
不思議そうな顔をして
門を通り過ぎて行く。

振り返り話し込んでる者や
積極的に
話し掛ける者もいたが
話し掛けられても
応じる様子は全くなかった。

周りの者達が
まるで見えないもののように
携帯の画面を開き
音楽を聞きながら冷静な…
冷たい雰囲気を醸し出し
そこに立っている。


日高洋介はK女子高の門で
本当に待っていた。


蓮音は胸が苦しくなった。

(このまま通り過ぎよう。
髪型だって昨日と違うから
私だと気付かない
かもしれないし…。)


足早に門を
通りすがろうとした瞬間だった。


「蓮音。」