洋介は
先輩達に会釈だけで応えると
「月岡さん、
今度一緒に
俺が通うクラブに
来てみないか?
君の姿勢を直してあげるよ。」
(なぜ…私に?)
私は言葉も出なかった。
先輩や友達が
「蓮音、よかったじゃん!
教えてもらいなよ。」
騒ぎ始めた周囲に
促され、ただ頷いた。
「明日、
学校が終わったら
K女子高の門で待ってるから。」
名門S高生の威圧感を
醸し出したような雰囲気に
圧倒されただけではなかった。
洋介は
私の返事も聞かず
何もなかったかのように
颯爽と仲間の元へ
戻っていった。
真っ直ぐに遠ざかる
洋介の後ろ姿を一瞬見た。
周囲から
憧れられている存在で…
誰も寄せ付けないような
冷たい雰囲気が
いいと言われてるけど
何故か苦手だと感じた。
苦手というより…
その存在自体が
自分でもわからなかったが
怖いと感じた。

