チリン…チリン…チリン…
チリン…チリン…
チリン…
チリ…ン…
やがて
鈴の音は微かにしか
聞こえなくなり
夫は
妻が息絶えたことを悟る。
『あなた…
私はいつまでも
この橋で
あなたを見守り続けます…』
愛しい愛しい妻の声が
夫の耳に
静かに響いていた。
その後
橋は村人達の手によって
更に修復された。
勿論人柱を建てながら。
あの悲しい夫婦のことが
村人達の心に残り
いつしか橋は
『夫婦橋』…と
呼ばれるようになったが…
人柱となり
妻を失った男の姿を
村人達は
見かけることはなかった。
そして江戸から
現代にかけて
夫婦橋は何度も修復され
80年代頃の
改修工事の時には
人骨が出てきた事実もあり
蓮音ちゃんが学校へ行く時
いつも通る
『夫婦橋』になったんだよ。」
「おじいちゃん
昔の人って
酷いことするんだね…」
小学4年生の私は
悲しみいっぱいに
なりながら
祖父の話を聞いていた。

