蓮音は呆気にとられて
秀也を見上げた。

視線が絡まり合った途端
恥ずかしくなって
頬が
赤くなっていくのがわかった。


(まさか帰宅中…

電柱に頭をぶつけているところを
見られていたなんて。


それをこんな大きな声で
言うなんて…

この人何なの?

一瞬でも
笑顔が素敵かもなんて
思った私ってバカみたい…)


「秀也〜
蓮音ちゃんドン引きだよ。
本当にいつも恥ずかしい奴〜
だからお前
彼女いない歴20年なんだよ!」


「わぁっ!
涼さんやめてくださいよ、
恥ずかしい。」


(私の方が恥ずかしいよ…
悪いけど帰りたいなぁ。)
「月岡蓮音19歳、
幼稚園教諭になる為に
勉強中です。」


秀也の顔を見上げるのをやめて
俯きながら
蓮音は小さく応えた。

そして
千尋のそばに
素早く寄りささやいた。