サッカーの夢を諦めて
公務員の道を選んだけど
忙しく厳しい日々の中、
充実感で満たされてる反面
気づかない内に
心にポッカリ
穴が空いてしまって
いたのかもしれない。
そんな中で
訓練中、夫婦橋を通る度に
あの女の子を
探すようになった。
毎回
見かけるわけではなかったが
たまに姿を見かけると
自然と顔がほころんで
心が弾んだ。
なぜ
いつも橋の真ん中で
立ち止まっているのかも
興味があった。
振り返って見た時、
電柱にぶつかって
頭を撫でながら周りを見回す姿に
笑ってしまったが
そんな天然ぶりも可愛く思った。
先輩の涼さんが
あの子に
「れのんちゃん、お帰り!」と
手をあげるのを見てから
涼さんに問い詰めた。
蓮の花に音…。
『蓮音』
という名前だと知った。
涼さんの
彼女の友達だということも。
蓮音ちゃんが
幼稚園教諭を
目指しているということも。
俺の心に響いた
蓮音ちゃんに会えると
わかって
情けないけど
仕事に身が入らなかった。
今こうして…
俺の目の前に
蓮音ちゃんがいるんだ!

