橋の真下には
人柱となる穴が
村人達の手によって
掘られた。
夫は妻の手に
小さな鈴を握らせた。
いよいよ
人柱となる妻に夫は
言った。
『お前が生きてるという証に
どうか
この鈴を鳴らし続けてくれ。
俺はお前を絶対
ひとりきりに
させたりはしない。』
『あなたと私は夫婦です。
心はいつまでも
あなたへと繋がっています。
私は一足先に
神の元へ参りますが
心はいつも
あなたと共にあります。
それを
どうか忘れないでいて。』
妻は鈴を握りしめ
夫の瞳を見つめながら
静かに涙を流した。
妻が人柱になった日
鈴の音が響いていた。
夫の耳にはっきりと
聞こえていた。

