小柄な少女は
長いストレートの髪をなびかせ
ゴスロリチックなレースの
ブラウスと黒いスカート、
大きな鞄を持ち
駅のホームにたたずんでいた。


「蓮音〜お待たせ!」

声のする方へ向けられた
その笑顔は
大きな瞳と長い睫毛
鼻筋が通っていて
あどけなさを
残しながらも美しかった。

友人の真由ちゃんと
電車の中。

たくさんの教材と
資料の入った大きな鞄を持ち
通勤通学ラッシュの
電車の中は冬だというのに
息苦しいほど蒸し暑い。


「蓮音〜
今日学校終わった後
どぉするのぉ?」


「予定はないけど

彼が迎えに来るかも…」


私には高校2年の時から
付き合ってる彼がいた。

進学校に通い
有名大学合格間違いなしと
本人も周囲の誰もが
思っていたのに
彼は希望の大学に受からず
2度目の浪人生活を
過ごしていた。


実習や就職活動に
忙しい私に焦りを感じたのか
彼のプライドを傷つけたのか
会う度に暴力を
振るわれるようになっていた。