「まあ、俺もいくけどな」



スープを飲み干してセトが言った。



「え?」


「当たり前だろ?魔法使えないやつに誕生石なんて集まるわけねーじゃん。それに学校なんてかったるいしよー?」



大の字に寝転がりながら言う。

多分…セトの優しさなんだろう。



「リク兄だってそのつもりだぜ?なあ?」


「まあな、」



二人とも…あたしのために…。

あたしは途端に申し訳なくなり頭を下げた。



「二人とも…ごめん…。」



あたしのせいで二人は卒業できない。



確かに二人はつよい。


セトは剣術に優れており、魔界の剣士が集う大会でも最年少にして上位にランクインしているほどの腕前だ。
チャンピオンはセトのお父様らしい。

リク兄の裏の顔は怪盗黒猫と呼ばれる有名な盗賊。リク兄のお父様も有名な盗賊だったらしい。
それに頭もいい。


こんなに頼れる二人がいるのだが、だからこそあたしなんかが二人の未来を左右させていいのだろうか。

あたしは迷った。



それを察したのかリクがあたしの頭を撫でた。



「大丈夫だ、俺たちのことは気にするな。」


「……。」


「そんな俺たちが頼りなく見えるか?」



首を横に降る。



「少しは俺たちを頼れ。」



そんなあたしたちのやりとりをみて少し不機嫌そうな顔をするセト。



「二人とも、ありがとう。」



あたしが言ったと同時にセトは後ろを向いた。




「おい、セト、なんだそのふてくされた態度は。」



気づいたリクがそれに反応する。



「別に…。」

「俺が頭撫でたの見て羨ましくなったか?」



からかうようにリクが言った。



「ち、ちげーって!別に…そんなんじゃ…ねーし…。」



心なしかセトの耳が赤く見えた。



「ふふっ…」



あたしは少しおかしくなって笑ってしまった。



「なにわらってんだよ、気持ちわりーな…」



セトすかさずそれにつっこんだ。



「気持ちわるいってなにさ!さっきまで(セトの真似して)別に…とか言ってたくせにー」


「うるせーよ、おまえなんて守らねーから魔物にこてんぱんにされちまえ」


「いいよー、別にリク兄に守ってもらうからー」


「言ったな?いつか後悔して泣きついても知らねーからなー」


「へーんだっ」



リクは平和な言い合いだと言わんばかりの顔をしてカップラーメンのゴミを処理しながら
無言でリビングに去っていった。


リクがリビングに行った後、あたしとセトはしばらく言い合っていた。