魔法の使えない魔女




穏やかじゃない町並みを通り抜け、

破壊され続ける家達を頼りに俺達は男を探した。





にしても…


「リク兄……お前………


はあ…………はあ…

早いんだよ…。

もっとペース落とせよ……。

はあ……はあ………。」





「ああ?盗賊は早くてなんぼだろ」



「俺は盗賊じゃないっての!」



くわっ!と言い放つセトを横目に

にやりとリクは笑った。



「いたぞ」


リクが言うとものかげに隠れる


セトも隠れた。



チラッと覗くと遠くで見たよりずっとずっと大男が家の塀を破壊していた


「で、でっけぇ。」



屋根を軽々と持ち上げた大男を見てセトは息を呑む


その大男はなにやらブツブツとつぶやきながら家具を持ち上げたり置いたりしている



「な、なにしてんだ…あれ…」


人間を食べる様子も無くただ家を破壊するだけの大男に俺達は違和感を覚えた。


「ぎぃぃぃぃやぁぁぁぁあ!!!」


突然奇声をあげ見るとギラギラした目で遠くからじっとこちらを見る大男がいた



「気づかれたぞ」


リクが言うとほぼ同時くらいに大男が走ってくる


「…こっち…くる…!!!」


俺は剣を引き抜き身構える


…コイツ……見た目より早い……!!!



「がーーーーーぎゃーーーーー!」



ダンッ!!


「くぅ…」

振りかざされた拳を間一髪でかわす




「ぎぎぎぎぎ……」





相変わらずつり上がった目と口からハアハアと出る息は迫力がある




シュバーーーーーーーんっ!




「ガぁぁぁぁぁ!!!」




いきなり上を向き苦しげな叫び声を上げる



リクが飛び上がってナイフで切りつけたのだ




ビシャっ…!



男の体内から緑の液体がでる




「こいつ…血も緑なのか…!?」





俺は距離感を取るために少し男から離れた




男の勢いが失われる



「…?なんだ…?」


急に大人しくなった大男にリクまで

違和感を覚えたようだ





「オ……………マ………エ」




「コイツ……話ができるのか!?」


「うるせーセト静かにしろ!」






「オ…………マ……エは…………テ……キ……?」



首をかしげうつろな目でユラユラこちらをみてそれを繰り返すうちに思い出したようにリクが口を開く




「…!コイツ………。そうだ、、元はこの男も人間だから………」




「×¥†∀∮∅・*♀〒カ……エセ…。」





「「は?」」





「×¥†∀∮∅・*♀〒カエ…セ……」




「おい…リク兄………コイツほんとに人間…」



「×¥†∀∮∅・*♀〒カエセ!!コロス!!!」






「わっ…ちょっっ……」




大男は急に飛び上がり俺達の真上から降りてきたもんだからオレはリク兄に抱えられてなんとか下敷きにならずにすんだ



「っだー!アイツの体重くらい俺が撥ね飛ばしたのに!!!」



屈辱だったのかセトは足をじたばたさせてリクの腕から降りようとする


「無理だ、アイツの身長、体格、破壊力を考えてもお前の剣が粉々になるだけだぞ」


「くっそ………。」




「がぎゃぁぁぁ!!!」



セトもリクも攻撃をかわされて怒ったのか、こちらに突進してくるのが見えた



「がぁっっ!!!」



またもラリアットを繰り出してくる大男。


セトはリク兄から離れ剣を構えた



ガンっっっ!



「なあ……。コイツどうすんだよ…!」


またも男の攻撃を支えながらセトが言った。




ブンっっ



剣で相手の腕を跳ね返し自分の攻撃をするがかわされてしまう



「はえーな………んぐっ!?」




「セト!」



ふわりとかわされた攻撃はその後の相手の攻撃をかわせるような余裕を持たせてくれなかった


「大丈夫だ……」



地面な叩きつけられたセトの体は言葉とはうらはらに痛々しく擦り傷となっていた



「くっそ……どうすりゃいいんだ!」