魔法の使えない魔女




―――――セトside――――



「おっ、ここは?」


転送装置に乗った俺はいつの間にか焼けこけた部屋に来ていた。


「セト!ルビー!」


リクが駆け寄ってくる。


「よく来たな、」


その後ろからしわがれた声が聞こえた。


「…お前が…」


「そうだ、マーベルだ。」


綺麗な白髪にふくよかな体。
とてもさっき事件が起こった住人の顔立ちではない。


「おい、マナは…」


「わっかんね、倒れちまったんだ。」


セトがマナを見ながら言う。


するとリクは


「…じゃあ………強いやつって……」


と呟いた。


「わしにその娘を見せろ。」


そう言ってマナを軽々と魔力で浮かせ、ソファに横たわらせた老婆は近くでマナをまじまじとみた。


「……こやつ……」


「「「…?」」」


「こやつ………2000年に一度の魔女か?」


一目見ただけで言い当てた老婆をオレは単純にすごいと感じた。



「すっげー!なんでわかるんだ!?」


「ふん、おまえみたいな単細胞顔じゃないからな。」


「え!?」


「…くくっ…単細胞にゃ……」


「…………。」



コイツむかつくっ…

オレはルビーの前足を軽く蹴り飛ばした。



「いっ、痛いにゃ!何するのにゃ!」


キッと牙をむきだすルビーにオレは知らん顔。



なんで初対面のこんなばーさんにもこんな扱い…。




「それよりセト…マナをここに寝せてくれないか」


リクが近くのソファを指さして言う


「お、おう…」


俺はそれを聞いて静かにマナを下ろした。




「…………俺らが思ってるより本当はずっと強いのかもな……」


「え…?」



ボソッとマナを見下ろしながら言ったリクに俺はキョトンとする


その後なんでもねぇよ、とマナから離れ焦げた背もたれの付いたイスに座った。



そのときだった、