『今夜は流星群。恋人と共に星降る夜を楽しんでみてはいかがでしょう?流星群とはそもそも………』
テレビで可愛いアナウンサーが笑顔で流星群の話をする。
あたしマナはそのテレビを食い入るように見ていた。
「流星群…。」
そう呟いた瞬間、あたしのお腹がグゥーっとなった。
ふと時計をみると昼間の1時。
あ…そういえばお昼ご飯なんにも食べてなかったんだ…。
テレビから離れ冷蔵庫を開けてみる。
なにも入っていない…。
買いにいこう…
不意に近くの鏡が目に入る。
薄い茶色にエクステのような銀髪が混ざる胸元まで伸びたストレートを耳の後ろでツインテールにし、
お気に入りのオーバーオールとフードのついたタンクトップに身を包んだ裸足の自分が写っていた。
…ブレスレット忘れた…。
そう思い、階段を上がりブレスレットをつけ、準備して勢いよく扉を開けたときだった。
ドンッ!
突然マナは何かにぶつかり少しよろめいた。
「おっと、あぶないっ。」
誰かがあたしの体をささえる。
「わりぃ、大丈夫か」
あたしの体を支えた男のほうをみる。
片足だけ膝下で切れたダボッとしたボロいジーンズに半袖の黒いトレーナー。ワックスを付けたツンツンした茶色の髪の毛。顔の右頬辺りに貼った絆創膏が印象的だ。
その男はあたしの幼馴染みの一人、セトだった。
「大丈夫か、じゃないよ!あぶないじゃん!」
「だからわりぃって。んな怒ることねーじゃん。そんなに怒ると将来シワ増えるぞ」
やんちゃそうな雰囲気のあるセトは周りのクラスメートでは人気の男子らしい。
密かにファンクラブもできてるんだとか…。
「…うるさいな、あたしは今お腹すいてるの!そしてあたしたち年取ってもあと4年で年とるのがゆっくりになるでしょ、だから年取るなんてずっと後のこと考えてられないよ、」
「まあ…そうだけど…。……あー、今日マナの誕生だもんな」
セトは頭をぽりぽり掻きながら言った。
「…絶対忘れてたでしょ、」
「……忘れてねーよ…。」
そう、今日はあたしの16才の誕生日。
そして魔法使いは20歳になると、老けるのが急速にゆっくりになる。
セトも魔法使いの一人。
そしてこの人も…。