「そうかなあー…」

「そうだよ! 絶対。」

自分の絵に自信が無いと言えば嘘だった。



「あ、りょうたくんじゃないー?」

「本当だっ! 行ってくるね!」

あたしは駆け足で涼太のもとへ向かった。
リョウタとは中3の時から付き合っていた。良太とはメールをするくらいの
仲だったけど、電話で告白されてから付き合うようになった。
まだ、デート数回、キスはまだ一回もしてない。勿論それ以上のことも。


「リョウターっ! どうしたの?」

「あ、良く気付いたじゃん! あのさ今日どっか行かね?」

リョウタからの誘いはすごく嬉しかった。

「良いよ! でも、今日自転車ないー…」

あたし達の住んでるところは田舎。だから、登校する時はバスか自転車。
あたしは何時もバス通学で自転車でくることは滅多にない。



「じゃあ、後ろ乗せてやっから。じゃ、そうゆうことで!」

「え、あっ…うん!」


実はリョウタと二人乗りするのは今日が初めてで、
少し戸惑いもあったけど、嬉しかった。

こんな、まだまだ淡い恋愛だった。何もかもが初めてばかりで。



放課後、リョウタはすぐにあたしの教室に来た。


「あいーっ! 早く行こう」

「分かった分かった!!」


急いでリョウタのもとへ向かった。
どうしたんだろ、今日は。いつもせっかちだけど今日は特にせっかちだ。



「乗った?」


「うん、大丈夫!」

「じゃあ、飛ばすからちゃんとつかまってろよ」