「胡桃沢…?」


ふと、呼ばれて気が付いた。



涙が流れていることに。


悲しくない。

ただ、切なくて、苦しくて…


何で、泣いてるんだろう…



きっと、酔ってきたのかな。


慌てて涙を拭う。


パラパラと、花火が上がり続ける中。




手首が掴まれた。



しっかりとした強さで、そこから熱が生まれる。


全てがスローモーションのようだと、静かに思った。


そのままぐっと引き寄せられて。




山口の唇に、私の唇が一瞬触れた。





何が起きたのか、よく分からない。




私達、トモダチだよね…?




トモダチ?




何も、考えられなくて。


ただただ、山口の瞳を見つめた。



.