檸檬-レモン-



早苗は始終楽しそうに中津さんと会話をしていた。

会話と言うよりは、早苗の質問攻めに中津さんが答えていると言った方が正しいけれど。


山口と私は始めから居なくて大丈夫だったんじゃ…?


雰囲気よくお開きになって、駅で解散した。

どうやら中津さんは早苗を最寄り駅まで送るみたいだ。

「また月曜日にね!」


「うん、気を付けてね」


大きく手を振る早苗と、控えめに会釈する中津さんを見送った。


「うまくいきそうだな。よし、俺らも帰るか」


「俺らって、山口反対でしょ?」


「送るよ。一応、な」


山口は振り返って、ニヤっと意地悪く笑う。


「一言多いんだよ、まったく。素直に送るよって言えばいいのに~」


私も素直に嬉しいって言えばいいのに。

でも本当、なんだか安心した。


2人になって、何故か。



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