檸檬-レモン-





「はっ初めまして…中津 亮介です」


店内は、所々にある間接照明のみで薄暗い。

アジアンテイストなお洒落なお店だった。


山口に連れられて席まで行くと、中津さんは深々と頭を下げた。


「柴田 早苗です。よろしくお願いします」

早苗は惜しみなく可愛い顔でにっこりと笑う。


「胡桃沢 奈々です」

中津さんはどうやら相当緊張しているみたいだ。
さっきからおしぼりで何度も手を拭いている。

真面目で誠実そうな人。清潔感があって、控えめな感じが好印象だ。


「はい、この中から飲みたいもの選んで」


山口がメニューを私達に向ける。

目が合った時に、無言の圧力をかけられた。

ビールはやめろよ、と。


「早苗、カルーアミルク」

「あたしは…いちご果実ハイで」



私にしか分からない角度で山口が笑った。
なんて奴だ!

私はあからさまにブスッとした表情で、山口を睨んだ。




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