約束の土曜日。
早苗と駅で待ち合わせをしている。
たくさんの人でごった返す街並みを、ぼーっと見つめて思う。
あいつは、今どこで誰と居るのだろう…
あたしを思い出す事なんて、あるのかな。
新しい彼女と、幸せであればいい…
「奈々あー!」
早苗の甘い声で、はっと我に返った。
今日の早苗は、いつもの100倍可愛い。
白いふわふわのワンピース。
ハーフアップにした髪。
「早苗、可愛すぎ」
思わず呟いてしまった。
対して私は、パンツスタイル。暑いからと長い髪を後ろで束ねただけ。
こんな所から早苗との差が歴然と生まれる。
いや、今日はあくまで私はおまけなのだ。
この会を盛り上げる為だけに呼ばれた、どうせ暇な独り身干物女なのだ。
「ありがと♪」
早苗は嬉しそうに笑って、ますます可愛くなる。
幸せになって欲しいな、早苗には。
社内の女子が妬んで早苗を毛嫌いしたりするけれど、早苗は友達思いのとても優しい子なんだ。
仕事だって一生懸命だし。
私と早苗は、山口が予約をしてくれたというお店に向かった。
.

