真っ赤に染められた奇抜なレストランには、ピンクブラッドと派手に書かれてあった。

窓際の席に三人は座る。

テーブルの上には、消して美味しそうには見えない食べ物がいくつか並ぶ......。

エンデュは、目の前に座っている左手首に包帯を巻いているカゲンと手が鏡と化しているジュノを一人一人、何も言わずに見詰めは、ため息をつく。

「............はぁ」

「おい、ハーブ抜きって言ったろ? 言っただろう?」

一人の客は、ここで働く大地の女神、レアに文句を言う。

レアは客に荒いが、顔はそう悪くない。
ほりの深い顔立ちで、ゴールド系の茶髪がよく栄えていた。

「悪かったわね」

「何だぁ? その態度は」

しかし、彼女は一々気にせずに他のお客様の注文の品を運んで行き、一つの品を丸いテーブルの上に置く。

ようやく暇になった所で、あの噂の三人が座る丸いテーブルの方へと歩いて行く。

カゲンの左手首とジュノの両手を見て言った。

「何があったか知らないけど、あんたら、結構目立ってるよ?」

「色々、あったんだよ......」

カゲンは、そう言った。

「って言うか......久しぶりじゃないか、カゲン。何でこんなどう仕様も無い店選んだの? 隣のウカノミタマの方がよっぽど美味しいのに......」

「レア。ウカノミタマは、高級店よ? そんな店に、こんな手で入れって言うの? ..................冗談じゃないわ」

ジュノはそう言うと、やけになって炎のパスタを一気に食べ出した。

炎のパスタは、その名の通り、炎がメラメ
ラと灯ったパスタである。

この店の看板メニューだが、神々は皆、焦げ過ぎたパスタがまず過ぎると声を揃えて言っている。

「なるほど......ね」

レアは、呟いた。

「......っん!」

ジュノは、気持ち悪そうな顔を浮かべて、その鏡の手で口を押さえ込んだ。

「ジュノ、どうした......」

エンデュは、言った。

そうしてジュノは、慌てたようにトイレへ駆け込んで行った......。


「ジュノ......大丈夫かな?」

カゲンは、エンデュの方を見て言った。

「......レア。君の店は一体どうなっている。吐き気がする程まずい料理を客に平気に出すとは....君は、一体何を考えている」

「何よ、バイトをしているだけの私に言わないで頂戴」

「......」

しかし、エンデュは黙ってレアのことを見る。

「っあ......。でも、そんなに見つめられちゃうと......」

そう言って、レアは顔を赤くした。

エンデュはカゲンに顔を向き直し、言う。

「......ジュノが戻り次第、ここを出よう」

「......うんうんうんうん。これ、変な味だけど意外と行けるなぁ......」

しかし、カゲンは炎のパスタをバクバクと食べていた。

「おい」

エンデュは思わずツッコミを入れた。