「もう一人お客が紛れ込んでるみたいよ。Mr.ハット」

「そのようだね。それかもしや、悪魔がまた来客したか。......最近、増えているのだよ。ナイト通りは、よく変な者に好かれる。まったく、困ったものだよ」

「そうね。はい、これ」

彼女は、Mr.ハットにパールを差し出し粉を手にすると踵を返した。

「カゲン?!」

目の前にはカゲンがいる。驚いてしまった。

「ジュノ?!」

後ろ姿が優美な女性だとは思ったものの、まさかジュノだとは思いもしていなかった。思わず彼も驚く。

「どうやって来れたの? 黒い巣は、闇の神や薬の神、それから夜の神や暗黒の神、そういった神にしか来る事は許されないの。あなたの様な能力を持つ神は普通、来られないのよ?」

「......キュルキュルキュル」

すると、鳥の様な鳴き声が天井の方から聞こえて来た。

「なるほどね。っで......」

ふと、ジュノは本棚の方に目を向ける。

「本でも探しに来た訳?」

「伝えに来たんだよ。ヘルヘイム帝国の神がアムール国に......」

すると、ジュノはカゲンの口を塞いだ。

Mr.ハットは、こちらを奇妙に伺っている。

「いい、カゲン。この話は後に聞くわ。こっちも......忙しいの」

そう言うとジュノは本棚の方に行き、一つ一つ本の上部に指をかけていく。

「............あった」

すると、その《 光りからの防御方法 》と言う本をジュノは取り出すと片手で持って開いた。

適当に、一通り読むと素早く閉じた。

すると、その場で彼女は言った。

「Mr.ハット! これ、借りてくわ」

「光りからの防御について学習するなら、アネモイ学校で光りについて教えているライト•ノーノ先生に教わると良い」

「分かったわ。ありがとう」

「......出るわよ」

カゲンにそう言うとジュノは扉を開いた......。