彼の背後の方では、二人の女神が話してい
た。

「ねー、 ナーサティヤ。
今、私のバグナッツ食べたでしょ!」

「え?! 私じゃないわよー。
ダスラが自分で食べてたじゃないの
よー。
それに、私はこんな芋虫ナッツなんて食べ
ないわ」

「何よ! 姉さんだって前までは
美味しい美味しいって言って食べてたじゃ
ないのよー」

二人は瓜二つの双子の女神である。
いつもケンカをする程、仲が良いようだ。

............ギー。

扉が開く音がして、二人は扉の方に目を向
けた。

彼は、木の床に足音をゆっくりと起てなが
ら入って来る。

「やだ、エンデュよ!」

「どうしよう! 今日は髪セットしてない
の。こんな急に来られても困るわよ」

そう、 ナーサティヤは言いながら手鏡を見
て髪を手で整えていた。

「馬鹿ね、誰もあんたのことなんて見てな
いわよー。
私が う つ く し す ぎ て!」

確かに美人だが、二人とも同じ顔である。

瓜二つの双子であるのに、ダスラは何故か
いつも、姉よりも自分の方が美人だと思い
込んでいた。

二人が目に入ったエンデュは彼女達に話し
かけた。

「やぁ。 ダスラ、ナーサティヤ 」

「 “ハーイ! エンデュ” 」

二人は手を彼に振り同時に声を揃えた。

だが、彼は挨拶をするとカウンター席の方
に行ってしまった。

「彼、なんか感じ変わったわね」

そうナーサティヤが呟くと、二人は顔を見
合わせた。