「どうして眠れないの?」

「子供のあなたには、分かりっ子無いわ」

すると、担当の看護師さんが入って来た。

「さぁ、お熱を測りますよ。あら、今日は顔色がいいわね」

彼の顔色はいつもより明るくなっていた。

......ピピピ、 ピピピ

看護師は体温計をとり、体温を見た。

「うーん、前よりはいいわね。
それじゃあ、ゆっくりして居るのよ」

そう言うと看護師は病室を出て行った。

「一体、何の病気なの?」

「癌だよ......。余命、長くて半年持つかどうかって言われた」

「......だから、あんなに暗かったのね」

ジュノは、優しくそう言って翔の手を優しく握った。やっぱりかとも思ったが、あえて言わなかったのだ。

「あ......あ、ありがとう」

彼は、顔を赤くした。

「また明日も、来るから」

優しくそう言うと、ジュノは病室から出て
行った。

すると翔は、黒い無地のカバーを付けた本を再び読み始めた......。