一人の虐めっ子が彼に押し寄せて来た。

「お前、今日もただの足手まといだったな」

そう言って、古賀は殴りかかろうとする。

古賀 涼太郎はやばい。このガッツリした体の人物に殴られると人たまりもないだろう。

隼人は、思わず目を瞑った。


......しかし、いつになっても殴ってこな
い。

........................一体?!


ゆっくりと隼人は目を開いた。

見ると、古賀の髪は燃えている......。
気づくと焦げ臭い匂いはグラウンド中に漂っていた。

「熱っ。だ、誰か火を消してくれ!」

「見てみろ、もう誰もいない」

突然、聞こえた声の方に古賀は振り向いた。

突如、現れた彼の手の平からは火がジワジワと燃え盛っていた。

ドサッ......。

古賀は足を崩して、そのまま逃げるように
グラウンドを出て行った。

「......はははっ」

笑いが止まらなかった。

笑顔の隼人を見てカゲンは笑みを浮かば
せた。

「やっと、笑ったな」

すると我に返り、真顔に戻ると言った。

「なんで助けたの?」

「お前に会いに行こうとして来たら、たまたま、あいつにやられそうになってたのを見てな。」

「別に良かったのに」

「良くないだろ?。友達が目の前で虐められてほっておく馬鹿が何処にいる。......だろ?」

「え......」