エキナセア中学校の3―A教室では、
最後の6時間目の授業は社会だった。理子は席に座りノートに黒板の文字を書き写す。

 この時、ビブラフォンの様に高音のチャイムの音は鳴り響いた。

「では、課題を出しましょう。好きな歴史上の人物を調べてわかった事をノートに書きとめて下さい。これで授業を終わります」

「......えー、まじで」

「めんどっ!」

「ってか、中島先生って超うざいよね。特に課題をいちいち出すところがさ」

生徒達は文句をたらしていた。
しかし、理子だけは一言も文句を言わなかった。

何故、周りの人達はこんな事で大袈裟にグチグチと言うのだろうか? そして、何故このように汚い言葉を吐くのか?

理子には分からなかった。
だって、そんなこと言ったところで誰がいい思いをするだろうか......。

もしかすると、私がおかしいのだろうか?

そんな風にも思ってしまう。

こんな教室さっさと出て帰ろうと、理子はスクールバッグに教科書を素早く入れ込み教室を出て行った。

そうして、いつも通り一人で帰るのだ。その方が楽でいい。

いつも通る橋が見えて来ると、普段とは違う異様なオーラを感じた。
すると、見覚えのある人物が目に入る。
彼は金髪の髪を風になびかせて川が流れる橋の向こう側を何を考えているのかわからない様な表情を浮かべて立たずんでいた。

「あ......」

彼女は足を止めた。

すると、こちらを彼は髪をなびかせながら振り向き、整った綺麗過ぎる顔をこちらに向けた。

「............この辺りにいると思ったよ」