ストーンメルテッド ~失われた力~

普通の総合病院の中をジュノは見渡しながら歩いていた。

「翔に話したんだろ? ......俺も翔に顔を出して来るよ」

「今はやめておいた方が......」

「わかってはいるが......これから仕事が忙
しくなるんだ。今のうちに会っておきた
い」

病室の扉が開く音がして彼は振り向いた。

「............翔............父さんは仕事でしばら
く逢えなくなるかもしれない。
......だから、言っておくよ?
お前は、俺にとって自慢の息子だ。
こんなに優しくていい子を持ったことはす
ごく幸せだと思っている。
......だから、病気に負けるな!
打ち勝ってくれ! ..................頼む............頼む......翔」

涙声で息子に言った。

「父さん......出ていって」

「......翔............」

今にも枯れそうな悲しい涙声だった。

「............一人にさせてくれ」

乾ききった口を開き、その一言だけを彼は言った。