彼は人があまり通らない場所を探し続け、このつまらない公園にたどり着いた。

全体は楕円形。ブランコが4つ並んでいる。

その隣にあるのは......誰も処理をしようとしない犬の尿がかかったのり馬だった。

......それは人気が少ない訳もわかる。

「理子、いっしょに帰ろうよ。
だってほら、家も近いしさ」

「......ほっといて」

「わ、分かったわよ」

その後、彼女はなに食わぬ顔で歩き続けていた。

「............いつもそうなのか?」

彼女は背後に振り向いた。
白い肌に艶やかな金髪、切れ長の瞳。こんな美男がこの当たりにいれば直ぐに気が付くものだが......。
妙に、薄気味悪く感じた。

「あなた、誰ですか?」

彼は一瞬にして姿を消した。

「......え、うそ」

思わず目を丸くした。

「エンデュだ」

突然近くから声が掛かり驚きながら振り向くと、さっきの男の人だった。
まるで、瞬間移動のようだ。

「あなた......何者なんですか?」

「......いい質問だ。何者と言われれば、人間ではない。......驚かせてすまなかった」

「人間じゃ、ないって............」

「信じられないのか?」

「当たり前じゃないですか。......って言うか、人間じゃないなら一体何者なのよ」

「知りたければ、頼みを聞いてはくれないか?」

「分かった、いいわ」

「一つ言っておくが、これは他の人間には絶対に知られてはならない事だ。............それを約束しろ」

彼女は黙って2、3回頷いた。

「俺は、思いやりと無を操る力を持った神だ。だが、このままでは俺は神ではなくなってしまうだろう。その為には、君のような心を持った人間の力が必要なんだ。だからこの世界に来た。
......たった今、君は俺の頼みを聞く約束をしてくれたお陰で助かったよ」

「え?ちょっと待ってよ。別に私は......」

「君は頼みを聞けと言ったらいいと言った。......決まりだ。」

「わ、分かりましたよ......」

「では、理子。......ここよりもっと人が寄り付かず、安心して過ごせる場所に案内してくれないか?。これから君に頼むことは、他の人間にばれてはならない」

「じゃ、じゃあ。家来ますか?」

「......いいだろう」