「......っそれは」

「恐らくこれで今までの自分自身の神の力が弱まった原因が分かったであろう。そなたらのストーンが溶けたのだ。何故溶けたかはまだ詳細不明である」

凛とした表情でヴィーナスは言った。

「ストーン? 何それ」

カゲンの発言にジュノは驚いて問いた。

「あなた知らないの?」

「あぁ、知らない」

周囲の者達はわっと笑い声を上げ始めた。

「............変わり者だな」

エンデュは少々あきれ顔で呟いた。

エンデュはふと女王を見詰めた。すると、彼女は黙って頷いた。それから彼は当たり前のストーンの説明をどう仕様もないカゲンの為に始める。

「......ストーンにはそれぞれの神の名が刻まれてあり、その神の力がストーンに封じられている。要するに、神の力を宿す石だ。それが溶けたということは......わかるな?」

「まじかよ、だから俺は......」

彼はようやく今置かれている状況を理解した。

「遅っ」

ジュノは思わず呟く。

「このままでは、そなたらは神では無くなるだろう。この世界から追放することになる。しかし、安心しろ。打つ手は一つだけある。

人間の手を借りるのだ。そうすればストーンはやがて、神の力と人間の心が結び付き元に戻すことが出来る。

......ここからが肝心だからよく聞いておけ。

一人の人間の心の中にこのストーンを預けろ。簡単なことだ。直接胸元に入れ込むか口に送り込むか、だ。そなたらなら出来るであろう。

..................もうすでに、人間界へ続く通路は私の手で開いておいた。今すぐに行きなさい。これにて会を終了する」


竜巻はヴィーナスの周りで起こり始めると、やがて収まり彼女は姿を眩ませた。

すると、周囲の者達はざわめきながら動き始めた。

「じゃ、行こうぜ」

カゲンは赤毛をいじりながら気楽そ
うに言うと、通路があるプリュイへと向かって歩き出した。物事を単純に捉えているようだ。


しかし二人は 不安が込上がっている。


「......あいつの性格が羨ましいよ」

エンデュは眉を下げ、言った。

「ええ、そうね」

ぶつぶつ言いながらも二人はプリュイへと歩き出した。