ストーンメルテッド ~失われた力~

この部屋の中は、静まり返っていた。

彼は、ジュノの後ろから抱き締めると、柔
らかな彼女の上半身を優しく、撫で回す。


自分の自宅に、招いたはいいが、何故こんな事を私はされているのか?

ただ、話したいと彼は、そう言っていたのに......それを信じて、私は......。

私は、騙されてしまったのかもしれない。


「浮かない顔だな」

「......当たり前でしょ」

冷めた口調で、ジュノは言い返した。

「君は美しい......俺と付き合わないか? パールはいくらでもくれてやる」

甘い話で、彼は誘い出す。

「......ただ、居てくれればそれでいい」

ジュノは、彼の腕の中、落ち着いた瞳で彼を見つめ、おもむろに笑った。


............私は、こんなにも簡単に、この男の甘い話にのってしまった。

パールに困っている今、こんなにもいい話はないと、感じてしまった......。

生活もぎりぎりの状態、それに、薬の材料の値はかなりのものだ。

でも、彼とただ付き合えば、それだけでパールは手に入る。

そうして、私は、欲に......溺れていったんだ......。


彼の、抱き締めていた手は騒がしくスルスルとジュノのビスチェの紐をほどく音を立て始めた。豊満な胸はあらわになってゆく......。

そのまま、彼はジュノを抱き抱え、ベッドに彼女は寝かし付けられた。

そうしてから、一秒も立たぬ内に二人は身体を重ねた。

部屋には、微かな吐き息の音のみが、静かに響きわたっていた。