そうしてゆく内、いつの間にか、ジュノは大人になった。
この日の朝、丁度出来上がった薬を瓶に流し込むと、闇の精霊達が最近、好物にしているベラベラとまあ、うるさい......この、べらべらクッキーを素早く手に取り、彼女は遺跡へと向かって外へ歩き出した。
べらべらクッキーは、くり取られて目と口が付いている。その口がベラベラとうるさく、皆、くだらない話を高音過ぎる高い声で永遠に喋り続けているのだ。
「ちょっと、もっと丁寧に扱いなさいよね......ほんと、嫌になっちゃう」
闇の精霊達のべらべらクッキーの食いつきぶりは異常な程である。しかし、それは元気の証。健康で何よりだと感じるものである。
しかしながら、べらべらクッキーは値が高く、さらに薬の材料の品もそこそこの値段がする。その為、次にはいつ、彼らにべらべらクッキーを与えられるのか? ......全く検討がつかない。パールさえ、もう少し裕福であれば......そんな思いを抱きながら、ジュノは笛を口元に当てた。
ピッ。
呼び寄せの横笛を鳴らすと、精霊達は一列に並んで踊るように飛んでくれる。
ジュノは、少女の頃と変わらず、それを目にすることが何より、楽しかった。
そうして、闇の精霊達の世話を終えようとしていた頃合であった。
誰かに見られているような感覚がしたジュノは、背後を瞬時に、振り返った。
そこに立たずんでいたのは、見に覚えのある神だった。一重まぶたの印象的な目つきの悪い瞳......目が合うと、その瞬間に彼はにやりと笑った。
......彼、あの時の......。だけど、何故また、ユグドラシルの神がアムール国へ......?
そんな疑問が、彼女の頭の中を過ぎる。
「話がしたい」
口を開いた彼は一言、そう言った。
この日の朝、丁度出来上がった薬を瓶に流し込むと、闇の精霊達が最近、好物にしているベラベラとまあ、うるさい......この、べらべらクッキーを素早く手に取り、彼女は遺跡へと向かって外へ歩き出した。
べらべらクッキーは、くり取られて目と口が付いている。その口がベラベラとうるさく、皆、くだらない話を高音過ぎる高い声で永遠に喋り続けているのだ。
「ちょっと、もっと丁寧に扱いなさいよね......ほんと、嫌になっちゃう」
闇の精霊達のべらべらクッキーの食いつきぶりは異常な程である。しかし、それは元気の証。健康で何よりだと感じるものである。
しかしながら、べらべらクッキーは値が高く、さらに薬の材料の品もそこそこの値段がする。その為、次にはいつ、彼らにべらべらクッキーを与えられるのか? ......全く検討がつかない。パールさえ、もう少し裕福であれば......そんな思いを抱きながら、ジュノは笛を口元に当てた。
ピッ。
呼び寄せの横笛を鳴らすと、精霊達は一列に並んで踊るように飛んでくれる。
ジュノは、少女の頃と変わらず、それを目にすることが何より、楽しかった。
そうして、闇の精霊達の世話を終えようとしていた頃合であった。
誰かに見られているような感覚がしたジュノは、背後を瞬時に、振り返った。
そこに立たずんでいたのは、見に覚えのある神だった。一重まぶたの印象的な目つきの悪い瞳......目が合うと、その瞬間に彼はにやりと笑った。
......彼、あの時の......。だけど、何故また、ユグドラシルの神がアムール国へ......?
そんな疑問が、彼女の頭の中を過ぎる。
「話がしたい」
口を開いた彼は一言、そう言った。


