それからと言うものの、ジュノは、闇の精霊達に上げるおやつに丁度いい食べ物や、傷ついた神の治療に使えそうな材料などを目的として黒い巣にはしょっちゅう、お世話になる様になっていったのだった。
ついでに、Mr.ハットから本を借りる事もしばしばある。
「Mr.ハット! これ、借りてくわよ」
ジュノは、埃だらけの棚の中にしまわれていた、《傷の治療薬の作り方》と書かれた分厚い本を小さな両手いっぱいに抱えて、そう言った。
「はいよ」
そうして、ジュノはスキップをしながら闇の薬屋を出て行った。
「......相変わらず、勉強熱心だな」
Mr.ハットは、彼女の出て行ったボロ臭い店の扉を見詰めながら、呟いた。
そうして、始めたのは《傷の治療薬の作り方》の本をお手本に、手作り治療薬や、実験だった。
家の中には、実験道具や薬、いくつかの本が置いてある。
ジュノは、本の通りに薬を作り上げてゆく......。
“手始めに、フラスコや容器を用意する。次に、ケラケラかぼちゃ......1/4をすり潰したものとフェニックスの涙......2敵を容器の中へ投入をし混ぜ合わせる。その後、薬草を適当な量だけ投入をし混ぜ合わせる。最後に瓶に移せば出来上がり。”
古臭くボロボロになっている、55ページには、そう書かれてあった。
ジュノは、ハロウィンに飾る様な厳つい顔の付いたかぼちゃを切ろうとすると、突然、かぼちゃは裂けるほど大きく口を開けて、笑い出した。
「ケラケラケラケラ......」
ケラケラかぼちゃとは......その名の通り、笑うカボチャの事である。
ジュノは、一瞬、驚いたものの、お構いなしにざっくり切り刻んでいき、すり潰していった。
フェニックスの涙は、時間の立った涙では効き目が薄いという話がフィーリア学校では噂にあった。その為、ジュノは闇の薬屋で上質な物を買い取ったのである。
そうして、フェニックスの涙を、2滴投入した。
だが、その瞬間......!
バーーーーン!!
容器に入った作りかけの薬は、突然、爆発をして花火のように大きく弾き飛んだ。
せっかく、作っていた薬は台無しに......。
しかし、こんな事でめげずに何度も何度も薬を作っていた。
失敗、失敗、失敗、失敗......。
最早これまで......いやいや、それは、これからだった。
ジュノは、1万108回目の薬を調合していた。
最後の仕上げ、薬草を適当に入れると、それは出来上がった。ジュノは、素早く中くらいの大きさの瓶の中にオレンジ色の薬を流し込む。
ジュノは、ようやく完成した治療薬に笑みを浮かべた。
ようやく、薬を作るこつを掴んだジュノは、いつしか、様々な薬と材料が棚にずらっと並ぶようになっていた。
それは、一つ一つの瓶の中に丁寧に保管されている。人面樹の葉、世界樹(ユグドラシル)の葉、死者の血、何者かの目玉や花の蜜......。
さらに、本は山になるほど溜まってしまっていた。机の上は、本でどっさりと埋め尽くされている。
まるで、ジュノが何年にも渡り、黒い巣の行き来や、実験を積み重ね、増えていったコレクションの様にも見えてくるものである。
ついでに、Mr.ハットから本を借りる事もしばしばある。
「Mr.ハット! これ、借りてくわよ」
ジュノは、埃だらけの棚の中にしまわれていた、《傷の治療薬の作り方》と書かれた分厚い本を小さな両手いっぱいに抱えて、そう言った。
「はいよ」
そうして、ジュノはスキップをしながら闇の薬屋を出て行った。
「......相変わらず、勉強熱心だな」
Mr.ハットは、彼女の出て行ったボロ臭い店の扉を見詰めながら、呟いた。
そうして、始めたのは《傷の治療薬の作り方》の本をお手本に、手作り治療薬や、実験だった。
家の中には、実験道具や薬、いくつかの本が置いてある。
ジュノは、本の通りに薬を作り上げてゆく......。
“手始めに、フラスコや容器を用意する。次に、ケラケラかぼちゃ......1/4をすり潰したものとフェニックスの涙......2敵を容器の中へ投入をし混ぜ合わせる。その後、薬草を適当な量だけ投入をし混ぜ合わせる。最後に瓶に移せば出来上がり。”
古臭くボロボロになっている、55ページには、そう書かれてあった。
ジュノは、ハロウィンに飾る様な厳つい顔の付いたかぼちゃを切ろうとすると、突然、かぼちゃは裂けるほど大きく口を開けて、笑い出した。
「ケラケラケラケラ......」
ケラケラかぼちゃとは......その名の通り、笑うカボチャの事である。
ジュノは、一瞬、驚いたものの、お構いなしにざっくり切り刻んでいき、すり潰していった。
フェニックスの涙は、時間の立った涙では効き目が薄いという話がフィーリア学校では噂にあった。その為、ジュノは闇の薬屋で上質な物を買い取ったのである。
そうして、フェニックスの涙を、2滴投入した。
だが、その瞬間......!
バーーーーン!!
容器に入った作りかけの薬は、突然、爆発をして花火のように大きく弾き飛んだ。
せっかく、作っていた薬は台無しに......。
しかし、こんな事でめげずに何度も何度も薬を作っていた。
失敗、失敗、失敗、失敗......。
最早これまで......いやいや、それは、これからだった。
ジュノは、1万108回目の薬を調合していた。
最後の仕上げ、薬草を適当に入れると、それは出来上がった。ジュノは、素早く中くらいの大きさの瓶の中にオレンジ色の薬を流し込む。
ジュノは、ようやく完成した治療薬に笑みを浮かべた。
ようやく、薬を作るこつを掴んだジュノは、いつしか、様々な薬と材料が棚にずらっと並ぶようになっていた。
それは、一つ一つの瓶の中に丁寧に保管されている。人面樹の葉、世界樹(ユグドラシル)の葉、死者の血、何者かの目玉や花の蜜......。
さらに、本は山になるほど溜まってしまっていた。机の上は、本でどっさりと埋め尽くされている。
まるで、ジュノが何年にも渡り、黒い巣の行き来や、実験を積み重ね、増えていったコレクションの様にも見えてくるものである。


