この日はアムール国での初日から、あの時ヴィーナスの言って来たとおりの仕事が待ち受けていた。
この頃はまだ、良からぬ噂はたっていなかった遺跡。この場所でアルは、ハキハキと説明をする。
彼は、くるくると巻いた茶髪に芯の通った瞳が魅力的な若い青年だった。
「今の時点で、この国で闇の力をもつ神は君だけだ。だから、今までは、動物の神が闇の精霊の世話をし続けて来た。だが、君が現れた。つまり、君がこれからアムール国で唯一の闇を操る女神となるんだ」
そして、一旦、口を止めたアルは闇の精霊達が何十匹といる背後を振り向き、そして、素早くこちらへ視線を戻すと、言った。
「......いいかい?」
すると、アルはサッと背後を振り向いては、ジュノがきちんと見ている事を確認するかのように、こちらへ首を回し、目を向ける。そして、また、背後へ首を戻す。
......アルは、体内に力を込める様にやや、うつ向いた。
素早く、ジュノの左側の後方へと目を向けると、アルは右手の平を上向きにし、力を込めた。
すると、見る見ると緑色の葉や茎、木の枝が現れるではないか......。
そして、アルはその栄養素となる水分と葉を粉状にした美しく緑にきらきらと輝く塊を狙う先、 ジュノの左側の後方へ......飛ばした。
それは、ふんわりと空中に浮かぶ。それは、まるで、空中に絵を描いたかのように美しく、輝いている。
さすが、日々、動物や精霊を扱う神だけありそれは、彼にとって、お手の元な技だった。
闇の精霊達は、その瞬間、本能的に素早く動き出した。ある精霊は、栄養素しか目に見えていない為、アルの頭を蹴り飛ばす。
「いったっ」
アルは、そう言って頭を触った。
そんな中でも、どんどん闇の精霊達は二人の間や上を抜け出していき......ふんわり浮かびながら飛び交う、緑色の美しくきらきらと輝いた栄養素へと、あっという間に飛んで行った。
その光景を目にしたジュノは、楽しんで心から笑った。
「............今日は、凄いな」
彼らの勢いに圧倒されたアルは、そう言った。
周囲の街行く神々は、こちらへ視線を向けては、再び足を進め、歩き出してゆく。
中には、ずっと、足を止めたまま闇の精霊達と二人を見物するように見詰めている者も、数人いた。
ジュノは、精霊達に見入っている。今の彼女は、口角をくっと上げた愛らしく良い笑顔をしていた。
そんな彼女に向けて、アルは話しかける。
「さぁ、今度は君の番だ」
そして、あちらこちらに散らばった闇の精霊達の方を見やり、再び視線をこちらへ戻すとアルは笑顔で、言い出した。
「栄養補給をすませた彼らを連れ戻すんだ」
それを聞いた途端、ジュノは唖然とした顔になる。
様々な場所に散らばってしまった闇の精霊達を、私が、連れ戻すですって......?
「大丈夫。簡単だから。この、笛を吹いて精霊達を連れ戻しておいて」
そう言って、アルはシンプルな布地のTシャツのポッケにしまい込んでいた呼び寄せの横笛を取り出すと、ジュノに手渡した。
「それじゃあ、任せたよ」
そして、アルは踵を返すと、何処かへと歩き出して行ってしまった。
この頃はまだ、良からぬ噂はたっていなかった遺跡。この場所でアルは、ハキハキと説明をする。
彼は、くるくると巻いた茶髪に芯の通った瞳が魅力的な若い青年だった。
「今の時点で、この国で闇の力をもつ神は君だけだ。だから、今までは、動物の神が闇の精霊の世話をし続けて来た。だが、君が現れた。つまり、君がこれからアムール国で唯一の闇を操る女神となるんだ」
そして、一旦、口を止めたアルは闇の精霊達が何十匹といる背後を振り向き、そして、素早くこちらへ視線を戻すと、言った。
「......いいかい?」
すると、アルはサッと背後を振り向いては、ジュノがきちんと見ている事を確認するかのように、こちらへ首を回し、目を向ける。そして、また、背後へ首を戻す。
......アルは、体内に力を込める様にやや、うつ向いた。
素早く、ジュノの左側の後方へと目を向けると、アルは右手の平を上向きにし、力を込めた。
すると、見る見ると緑色の葉や茎、木の枝が現れるではないか......。
そして、アルはその栄養素となる水分と葉を粉状にした美しく緑にきらきらと輝く塊を狙う先、 ジュノの左側の後方へ......飛ばした。
それは、ふんわりと空中に浮かぶ。それは、まるで、空中に絵を描いたかのように美しく、輝いている。
さすが、日々、動物や精霊を扱う神だけありそれは、彼にとって、お手の元な技だった。
闇の精霊達は、その瞬間、本能的に素早く動き出した。ある精霊は、栄養素しか目に見えていない為、アルの頭を蹴り飛ばす。
「いったっ」
アルは、そう言って頭を触った。
そんな中でも、どんどん闇の精霊達は二人の間や上を抜け出していき......ふんわり浮かびながら飛び交う、緑色の美しくきらきらと輝いた栄養素へと、あっという間に飛んで行った。
その光景を目にしたジュノは、楽しんで心から笑った。
「............今日は、凄いな」
彼らの勢いに圧倒されたアルは、そう言った。
周囲の街行く神々は、こちらへ視線を向けては、再び足を進め、歩き出してゆく。
中には、ずっと、足を止めたまま闇の精霊達と二人を見物するように見詰めている者も、数人いた。
ジュノは、精霊達に見入っている。今の彼女は、口角をくっと上げた愛らしく良い笑顔をしていた。
そんな彼女に向けて、アルは話しかける。
「さぁ、今度は君の番だ」
そして、あちらこちらに散らばった闇の精霊達の方を見やり、再び視線をこちらへ戻すとアルは笑顔で、言い出した。
「栄養補給をすませた彼らを連れ戻すんだ」
それを聞いた途端、ジュノは唖然とした顔になる。
様々な場所に散らばってしまった闇の精霊達を、私が、連れ戻すですって......?
「大丈夫。簡単だから。この、笛を吹いて精霊達を連れ戻しておいて」
そう言って、アルはシンプルな布地のTシャツのポッケにしまい込んでいた呼び寄せの横笛を取り出すと、ジュノに手渡した。
「それじゃあ、任せたよ」
そして、アルは踵を返すと、何処かへと歩き出して行ってしまった。


