バンッッ!
また、木の音…じゃなく、壁の音が響いた。
見ると、赤髪の男がまた壁に激突したようで。
てゆか、なぜ当たるのか不思議。
「あっ、いた!行こーぜ!」と、
無理やり私の腕を掴んで引っ張る男。
「っ、痛!」
「あ、…。ごめんな!」
とか、いいつつ少し力を緩める。けど、離さず私を連れてゆく。
「あのさっ、私。他の部活を見たいの。」
「え?」
「てゆうわけで、じゃあ!」
私は力が緩まった赤髪の腕を振り解きダッシュで逃げた。
ここは一階だから…二階へダッシュ!
「ちょっ。待てよ!」、と叫ぶ赤髪。
〈ドンドギギィンギギガィガガガガ~♪〉
……っ!
二階へ上がるにつれて、うるさく鳴り響く雑音。
耳を塞ぎたくるような歌声。
それは、階段の真正面の教室からだった。
窓やドアには、赤いスプレーで「綺麗音エアーバンド」と言う文字がでかでかと書いてある。
どこが綺麗だ。
どこがエアーだ。
バンドの意味がわからない。
ネーミングセンスの悪さ。
「ハァハァ…ハァ。君、早すぎ。」
今頃追いついてきた赤髪。
「…………。」
黙る私に、ニヤリと笑った赤髪は「なるほど、そんなに早く入りたかっのか?」と、
雑音が漏れ響く教室に連れ込ませるよう背中をおされた。
「ちょっ、違っ!」
ガラッと開けられた教室。
一段と雑音が耳に入る。
っ!聞いてられない…
「みんな!聞いてくれ!」
と、赤髪が言うと
先程までの音が嘘みたいに消えた。
教室には2人の男子が。
青髪に、黄色の髪……。


