「うわーん!」

ひろむの泣き声が聞こえたのは音が鳴りやむのとほぼ同時だった。

私がお菓子コーナーで見たのは、床のあちこちに箱菓子が散らばっている様子と、買い物客らしき男性に身をかばわれるように抱きかかえられて立ち尽くしているひろむだった。

「っ!ひろむ!」

私はすっかり青ざめてひろむの傍に駆け寄った。

「大丈夫ですよ。びっくりして泣いているだけですから」

何があったか聞こうとしてもひろむは驚いてただ泣くばかりで、身を挺してかばった男性が黙々と床に散らばった商品を拾ってくれた。

惨状から推察するにワゴンに大量に積んであった箱菓子を崩してしまったようだ。

「すいません!ありがとうございます」

私も慌てて床に散らばった商品をワゴンに戻した。

ひろむもようやく泣き止むと、周りに習うように小さな手で商品を集めだした。