(困ったわ…) 特に高価なものというわけでもないが、あいにくこの茶碗以外に予備のものがないのだ。 (そうだ!) 鈴木くんに専用の食器をプレゼントしようと思いついたのはその時だった。 いつもなにかと気にかけてもらっているし、兄弟の面倒を見てもらって申し訳ないと思っていたのだ。 我ながら良いことを思いついたと得意げになる。 私は鼻歌交じりに茶碗の欠片を片付けたのだった。