「鈴木くん、見て!」 私の合図で、恵は鈴木くんの前でくるりと回転した。ピンク色の帯がふわりと揺れて、まるで水面を泳ぐ金魚のようだ。 「可愛いでしょう?」 私は自信満々で鈴木くんの返事を待った。 「浴衣だ……」 鈴木くんは感動したように小さく呟いた。 我ながら素晴らしい出来だと思う。インターネットや本で流行りの帯の結び方を勉強して、小物をリメイクして今風にアレンジしたかいがあった。 それは恵も同じだったらしく、鈴木くんの反応に満足げに頷いた。