「佐藤さんが毎日俺のことを満たしてくれるなら良いよ」 道の往来だというのに鈴木くんは私の唇を掠め取っていった。 (人前でからかうのはやめよう) 私は彼に翻弄されて赤くなった顔を隠しながら決意した。 「ほら、帰ろう」 「うん」 鈴木くんは涼しい顔をして、私の手を握った。 会社で評判のあの人の正体は。 愛を欲しがる優しい獣でした。 そして、今では。 私だけの愛しい獣。 おわり