「ねえ、鈴木くんってなんでうちに来るときはあの格好なの?」

「落ち着くからかな」

「そう……なんだ」

佐藤さんはひどく納得したように頷いた。彼女に自分の中の二面性に関してあえて説明する必要はないと思う。

「ひろむがね、朝から言うの。次に鈴木くんが来るのはいつなのかって。よかったら、今夜も来てくれる?」

「うん、行くよ」

即答すると同時にエレベーターがやってきた。

人ごみに流されながらも彼女がありがとうとお礼を言ったのを聞いて体温があがる。

(っしゃ!)

俺は心の中で小さくガッツポーズをした。