いつまでそうしていただろう。
長い間待っていたような気もするし、一瞬のことのようにも思えた。
「佐藤さん?」
鈴木くんは植え込みに座っている私を見つけてひどく驚いていた。
「こんな所で何をしているの?」
「何って……」
……ずっとあなたが帰って来るのを待っていた。
そう言えば良いのに、緊張のせいか声が上手く出なかった。
鈴木くんは口ごもる私を見かねて提案した。
「帰ろう。送っていくよ」
ずっと逢いたいと思っていた彼の背中が遠ざかっていく。
……違う。私は背中が見たいわけではない。
「待って……!!」
私は鈴木くんを大声で呼び止めた。