「ありがと、持ってくれて」

玄関ポーチまでやってくると、鈴木くんからレジ袋を受け取った。

手渡す前と重量は変わらないはずなのに、なぜかずしりと重く感じた。

鈴木くんは最後まで家に寄るとは口にしなかった。

「じゃあね」

そう言って、鈴木くんに背を向ける。

一刻も早く彼の視界から消えたいと願っているのに、手がかじかんでいて思うように鍵が開けられない。

「……佐藤さんは俺にどうして欲しいの?」

鈴木くんは悪戦苦闘している私を背後から抱き寄せた。

「優しくして欲しいなら優しくするし、甘い言葉が欲しいならいくらだって言ってあげる」

耳元で紡がれる甘い囁きに、頭がドロドロに蕩けてしまいそうになる。