休憩室でコーヒーを買って飲んでいると、後からやってきたのは関谷さんだった。

目が合うと律儀にお辞儀をしてくる彼女に話しかける。

「関谷さんも休憩?」

「はい、お茶を買いに」

関谷さんの手にはしっかりと財布が握られていて、よどみなく投入口に小銭を入れていった。

……財布を忘れるのは佐藤さんぐらいだ。

思い出して少し笑う。

「あれからどうなったの?」

「渡辺先輩に相談したら、ぱったりやみました。色々気を回して頂いたみたいです」

新人の威勢がなくなったのはそういう訳だったのか。

いつだったか頬に痛々しいガーゼを張り付けて出勤してきたことがあったが、俺の人選に間違いはなかったようだ。

どういう経緯を辿ったのかは不明だが、相当コテンパンにやられたのだろう。

女性同士のネットワークの恐ろしさに苦笑するしかない。